糸数慶子議員(参)無所属 アンケート回答

Q1.原発事故子ども・被災者支援法の内容について、どのように評価されていますか?

A1. 「子ども・被災者支援法」は、福島原発事故後の政府・省庁の遅く不十分な対応を
受け、“全会一致”の議員立法として1年3カ月後に成立したもの。
子ども・被災者の生活と健康に関する施策の基本事項を盛り込んでおり、基本法的な
性格を持つものとして内容は各分野の課題への目配りがされていると評価している。
しかし、最も重要な「具体的な施策」に関しては復興庁の「基本方針」と多くの関係省に
委ねられ、被災の範囲を狭めようとする政府・与党の姿勢を法的にしばるところまでは
いっていない。


Q2.「原発事故子ども・被災者支援法」を推進・実行するために政府が作成した
「基本方針」の内容について、どのように評価されていますか?

A2. 「支援対象地域」の指定の仕方だけでなく、「支援施策」も、高い汚染地域に
住民、とくに子どもたちを留めたまま、検査や心理的な「不安対策」を“充実”させると
いうものが多く、放射線被ばくを小さく見せ、対策を抑制する姿勢が明らか。
自主避難者の「避難の権利」は認めておらず、借上住宅も来年3月で打ち切るなど、
まったく不適切、不十分で、抜本的な見直しが必要である。


Q3.「基本方針」には被災者の意見が十分に反映されていると思われますか?

思わない 

どのような手段・方法であれば、より多く、丁寧に被災者の声をすくいあげて
いくことができると思われますか? 

A3. 「基本方針」は、避難の権利、子ども・妊婦や住民の健康対策、被災者の生活支援
などの課題に本格的に応えていない。子ども・被災者支援のあり方、具体的方策、
必要な法制整備などについて、少なくとも空間線量1mSv/年を超えるすべての地域
(ホットスポットを含む)で住民の意見を聴く場を十分に設けるとともに、
被災者とその推薦による専門家を入れた「子ども・被災者支援協議会」(仮称)を設け、
その意見を行政の施策に義務的に取り入れるメカニズムを確立すべきである。


Q4.基本方針で定められた「支援対象地域」の規定は適切なものであると思われますか?

思わない

適切な「支援対象地域」とはどのようなものであると思いますか?

A4. 「基本方針」は、福島県の浜通りと中通りの市町村を「支援対象地域」とし、
その周辺の会津地方、東北南部、北関東を「準支援対処地域」としているが、
放射性物質は市町村境や県境にかかわらず拡散しており、行政区域で線引きするのは
合理的でないし、隣接の住民間に断絶・差別を持ちこむことにもなる。
「準支援対処地域」以外にも放射能汚染は広がっており、高い線量のホットスポットも
各所にあるが、それら地域はまったく支援の視野に入っていない。


Q5.現在の健康調査の体制は、被災者の要望に応え、また、将来起きてくる可能性のある
健康問題に対処するのに十分であると思われますか? 

思わない

どのような健康調査の体制なら、被災者の要望に沿い、また将来起きてくる可能性のある健康問題に十分対処できるものと思われますか?

A5. まったく不十分。少なくとも1mSv/年を超えるすべての地域では避難や
被ばく低減の対策を講じることを前提に調査すべきである。
また、それ以下でも低線量被曝の影響は未知数であり、とくに影響を受けやすい乳幼児や妊婦の長期被ばくは断じて避けるべきである。それがない長期の検診・調査は、
住民をモルモット扱いすることでしかなく、症状が出てからは取り返しがつかない。


Q6.現在、学校給食で出されている食品の、放射性物質に関する検査方式・内容、
及び基準値は、「支援法」に照らして、放射線の影響を受けやすい子どもの健康を守る
ために十分であると思われますか? 

思わない

適切な学校給食の体制(産地選定、検査方式、基準値など)とはどのようなもので
あると思いますか?

A6. 学校給食の食材は地域の農畜産物が多く、その検査は徹底させる必要がある。
しかし、厚労省の放射線基準は、原発事故に合わせて高く設定されており、基準内でも
内部被ばくと外部被ばくを合わせると1mSv/年を超えるおそれがあり、
基準値そのものを厳しくしないと、子どもの健康は守れない。


Q7.現在の就労支援の体制は、被災者の生活再建にとって十分なものであると
思われますか?

  思わない

被災者が安定した生活を再建するためには、どのような就労支援が必要だと
思われますか?

A7. ハローワークの拡充や民間事業者の活用」が謳われているが、放射能汚染地域での
経済活動の沈滞はその程度では解消しない。全国的な公共事業拡大やオリンピック需要
などが逆に被災地の復興の足を引っ張っており、除染事業への雇用も、被ばくの危険と
悪質業者の介在、除染そのものの実効性など問題が多い。原発事故被害者の移転・
移住を含めた公的で抜本的な雇用政策を確立すべきだと考える。


Q8.被災地からの保養活動支援について、「ふくしまっ子自然体験・交流活動支援事業」
(福島県教育委員会が実施している屋外活動が制限された県内の子どもたちが
県内外の低線量地域で自然体験する活動支援)で、十分であると思いますか?

思わない

保養活動への公的支援は、どのような形が適切であると考えますか?

A8. 「ふくしまっ子自然体験・交流活動支援事業」は、福島県内での自然体験活動が
内容だが、子どもの被ばく回避・低減は “一日も長く、1kmも遠く、1Bqでも
少なく”を原則として、できるだけ線量が低い場所を選ぶべきである。
また、「屋外活動が制限された屋内の子ども」だけでなく、県内全域はもちろん、
東北南部や北関東の子どもたちの参加も受け入れるべきだ。この意味では、実施主体が
福島県教委とされているのは不十分。この状態を改善しようと各地の市民グループが
取り組んでいる保養プロジェクトは市民の寄付で賄われており、制約が大きいので、
公費で支援すべきである。


Q9.現在行われている 「災害救助法」に基づいた被災者への借り上げ住宅供与の
期間設定について、どのように思われますか?

A9. 民間賃貸住宅等を利用した応急仮設住宅の供与期間は、延長しても来年3月末までで、
再延長も検討中というが、元来の居住地の線量レベル、経済活動と雇用の状況、
地域社会の復興の進捗度、健康状態など、それぞれの家族や個々人の事情を最優先
すべきで、機械的な期間設定は被災者に負担を強い、生活と心身の困窮化をもたらす
ことになる。原発の過酷事故による避難は、一般の自然災害とは質的に異なることを
基本に、長期かつ柔軟な住宅の手当てをすべきである。


Q10.放射線被ばくによっておこる健康被害についてのお考えをお聞かせください。

A10.  放射線被ばくは、 “一日も長く、1kmも遠く、1Bqでも少なく” 回避・
低減することが原則である。「地域復興」「帰還」を掲げて1mSv/年を超える
地域にも、住民、とくに子どもたちを留め置いたり帰還を余儀なくさせるような政策は
非人間的なもので間違っている。長期の低線量被ばくの影響は未知だが、
チェルノブイリの実例では甲状腺異常や癌だけでなく、多様で深刻な症状も報告されている。


Q11.「原発事故子ども・被災者支援法」に基づいた具体的な施策案をお考えでしたら、
お聞かせください。

A11.
・福島県をはじめ、事故以前の放射線量を有意に上回る地域の子どもたちに、
できるかぎり線量の低い地域での、できるだけ長期の保養活動を奨励し、
実施主体の官民を問わず公費で支援する。
・少なくとも1mSv/年を超える地域の妊婦、乳幼児には、同様の保養活動を
行政の責任で実施する。
・食材の広域流通の現状を踏まえ、給食食材の全量測定に取り組み、また一般食材の
継続的測定とその数値の公表を制度として確立する。
その前提として、厚労省の食材の基準値を大幅に厳格化する。
・無責任な “安心・安全キャンペーン”をやめ、広域の長期検診と治療の態勢を
 確立する。



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